最近は高齢者の方でも、これまで日常的にパンを食べてきたという方がかなり増えてきました。
ですが、パンは噛む力が弱くなった高齢者にとって、食べやすいものではないのも事実です。
しかし、年を取って自分でできることが少なくなっても食べる楽しみを持ち続けたいという人も多くいますし、高齢者にも好きだったパンをいつまでも食べてほしいですよね。
食の楽しみがあるだけで、高齢者の方の毎日の生活にも張り合いが出ることもあるでしょう。
そこで今回は、高齢者にとって食べやすいパンや、パンを使った高齢者にも食べやすいレシピ、パンのほかに毎日の楽しみになるおすすめの和菓子や果物などもご紹介します。
高齢者でも食べやすいパンとはどんなものなの?
実は、パンが好きな高齢者向けに、高齢者でも食べやすいパンが発売されているんです。
これから紹介するパンは、日本介護食品協議会という団体によって、ユニバーサルデザインフード(UDF)に認定されているものです。
ユニバーサルデザインフードとは、日常の食事から介護食まで幅広くお使いいただける、食べやすさに配慮した食品です。
引用 日本介護食品協議会 ユニバーサルデザインフードとは
ユニバーサルデザインフードのパッケージには、下記の表に描かれているマークが必ず記載されています。
また、「かたさ」や「粘度」をもとに4つに区分けされていて、飲み込む力や噛む力がどれくらいあるかでどの区分を購入すればよいかが変わってきます。
認定された介護用食品には必ずマークがついているので、他の食品を買うときにも気にしてみてくださいね。
タカキヘルスケアフーズ「らくらく食パン」
高齢者でも食べやすいパンとして有名なのは、アンデルセングループが発売している「らくらく食パン」です。
アンデルセングループは「リトルマーメイド」、「タカキベーカリー」、「アンデルセン」など街中でよく見るベーカリーで、パンの製造・販売をしている会社です。
「らくらく食パン」は、アンデルセングループの「タカキヘルスケアフーズ」という会社が開発・販売しています。
見た目は市販されているパンと変わりませんが、舌でつぶすことができるくらいやわらかいので、高齢者にも食べやすい商品です。
ユニバーサルデザインフードでは区分3:舌でつぶせる柔らかさに認定されています。
スーパーやコンビニエンスストア等の一般小売店では取り扱いがされていないため、タカキベーカリーのオンラインショップから購入しましょう。
(詳しくは:https://www.takakibakeryshop.jp/c/rakuraku)
または、一部介護食を専門に取り扱っている店舗、もしくは通信販売でも取り使いがあるそうです。
詳しくは、全国病院用食材卸売業協同組合のサイトで確認してみてください。
介護食というと、細かく刻まれていて見た目がおいしそうでなかったり、味付けもシンプルで楽しめないようなイメージがありますよね。
しかし、「らくらく食パン」は見た目も味も従来の食パンと変わらないようこだわって作られています。
選べる味は、プレーン、コーヒー牛乳味、イチゴ味の3種類です。
プレーンであれば、いつもの食パンと同じように朝食としても食べられますし、コーヒー牛乳味やイチゴ味はデザートにも使えます。
また、一般的な食パンは特にパンの耳の部分が硬くて食べやすいものではないため、材料配合と焼く工程に工夫が凝らされ柔らかく仕上げられているんですよ。
冷凍した状態で届くため長期保存ができますし、食べたいときにレンジで温めるだけでOKです。
高齢者にとってパンはなぜ危険なのか?
パンは、高齢者には危険が多い食べ物と言われています。
なぜなら、パンには含まれる水分量が少ないため、ご飯よりも噛む力が必要になるからです。
また、口の中で唾液と混ざるとパンが固まってしまい、飲み込みにくくなってしまいます。
ほかにも、クロワッサンのような層になっているパンは、口の中で層が張り付いて危険です。
誤嚥窒息(ごえんちっそく:飲み込めなかったものが気道を塞いで窒息を起こすこと)の原因となるため、高齢者施設や病院ではパンを提供しないようにしていることが多いそうです。
また、高齢者にパンを食べさせるときには、食べやすいよう小さくちぎったり、飲み物やスープに浸して食べさせたり、パンがゆにしたりなど、細心の注意が必要です。
そんな中、パンが好きな高齢者でも、パン本来の見た目、味を楽しめるなら、「らくらく食パン」を試してみる価値がありそうですよね。
高齢者でも食べやすいパンのレシピ
ここからは、高齢者でも一緒に楽しめる、食べやすいパンのレシピをご紹介します。
レシピその1:フレンチトースト
<材料(1人分)>
- 食パン 1枚
- 牛乳 100mL
- たまご 1個
- 砂糖 大さじ1
- 無塩バター 小さじ1
- (お好みで)グラニュー糖やメープルシロップなどのトッピング
<作り方>
①食パンを4等分にする
②牛乳、砂糖、卵を混ぜ合わせ、①で4等分にした食パンを10分程度浸ける
③フライパンを温め、無塩バターを弱火で溶かす
④バターが溶けたら食パンを焼く
⑤両面に焼き目が付いたら盛り付けて、お好みでグラニュー糖やメープルシロップをかける
フレンチトーストは卵液に食パンを浸すため、耳まで柔らかくなって高齢者にも食べやすいです。
同じ料理を一緒に楽しめるのは嬉しいですよね。
レシピその2:パンプティング
<材料(1人分)>
- 食パン 1枚
- たまご 1個
- 牛乳 50mL
- 砂糖 大さじ1
- イチゴ 4つ
<作り方>
①食パンを一口サイズに切る
②イチゴのへたを取って、縦に4つに切る
③たまごと砂糖を混ぜる
④牛乳を③に加えて混ぜる
⑤食パンを④に浸す
⑥マグカップに卵液に浸した食パンとイチゴを盛り付け、残っている卵液を上からかける
⑦軽くラップをし、500Wの電子レンジで5分間温める(固まっていないときは追加で1分ほど加熱する)
パンプティングもフレンチトーストと同じで、高齢者と一緒に食べられるのがいいですよね。
飲み込みやすくするためにも、卵液にしっかり浸すことが大事です。
レシピその3:クリームシチューパンがゆ
<材料(1人分)>
- 食パン 1/2枚
- 牛乳 60mL
- 水 45mL
- コンソメスープの素 小さじ1
- (お好みで)コショウ 少々
<作り方>
①食パンの耳を取って、細かくちぎる
②ちぎった食パンを牛乳に浸ける
③鍋にコンソメスープの素と水を入れて沸騰させる
④コンソメスープの素が溶けたら食パンと牛乳を鍋に入れる
⑤弱火で2分火にかけ、お好みでコショウをかけて完成
シンプルなパンがゆも、味付けのレパートリーがいろいろあります。
飽きずに楽しめる工夫ができるといいですよね。
レシピその4:シーチキントマトクリームパンがゆ
<材料(1人分)>
- 食パン 1/2枚
- トマトジュース 100mL
- 生クリーム 20mL
- シーチキン 70g
- 粉チーズ お好みの量
<作り方>
①食パンの耳を取って、細かくちぎる
②鍋に①の食パン、トマトジュース、生クリーム、シーチキンを入れて加熱する
③沸騰したら弱火にして、1分煮込む
④お好みで粉チーズをかけて完成
シーチキンをハムなどに変えてもおいしそうですよね。
パンがゆは食パンの耳を取っておくと、より食べやすい仕上がりになりますよ。
高齢者に食べやすい和菓子や果物は?
高齢者の生活が少しでも彩のあるものになるよう、パンだけでなく食べやすい和菓子や果物を見ていきましょう。
ただし、糖尿病等の持病がある高齢者も多いため、カロリーの取りすぎには十分注意し、のどに詰まらないように少しずつ食べるようにしましょう。
1日1回、100~200kcalに収まるように注意してくださいね。
ちなみに、洋菓子や菓子パンが好きな人も多いですが、カロリーオーバーになりやすいです。
和菓子や果物を取り入れることで、食事では摂りきれない栄養や水分を補えたり、毎日の楽しみになったりなど、メリットも多いですよ。
おすすめの和菓子
- 甘納豆
- 羊羹
- まんじゅう
- どら焼き
おせんべいも人気ですが、高齢者の噛む力が弱まっていると食べにくいと感じる可能性もあります。
小さく割ってから渡すなどの配慮が必要です。
また和菓子ではありませんが、ゼリーやプリン、ムースも噛む力がそれほど必要ないため、高齢者には食べやすいのでおすすめです。
おすすめの果物
- イチゴ
- オレンジ、みかん
- キウイ
上記の果物は水分も多く、ビタミンも豊富なので栄養を補うのに最適です。
リンゴも水分を含みますが、高齢者にとっては硬すぎることもあるそうなので、火を通してやわらかくすると食べやすいですよ。
まとめ
- パンを食べたい高齢者には、タカキヘルスケアフーズが開発・販売している「らくらく食パン」が安全で食べやすい
- 介護食と言っても味や見た目にこだわって作られているため、食べることを楽しみたい人には非常におすすめ
- パンに限らず高齢者向けに食品を購入するときは、ユニバーサルデザインフードのマークを確認するとよい
- 噛む力が弱くなっている高齢者にとって、パンは水分が少なく、唾液と混ざると固まりになってしまうため窒息の原因になる
- フレンチトースト、パンプティング、パンがゆは高齢者にも食べやすいパンのレシピ
- 高齢者にとって和菓子や果物は、食事で摂りきれない栄養や水分を補ったり、日々の楽しみにもなる
- 洋菓子や菓子パンはカロリーオーバーになりやすいので、和菓子や果物を1日1回、100~200kcalを目安にするとよい
- 和菓子だとまんじゅうや羊羹、甘納豆、どら焼きが食べやすく、果物はイチゴ、キウイ、オレンジやみかんが水分が多くおすすめ
ここまで、高齢者にも食べやすいパンや、パンを使ったアレンジレシピ、毎日の楽しみになる和菓子や果物を紹介してきました。
食べる楽しみがないだけで元気をなくしてしまう高齢者も多いです。
少しでも毎日を楽しく過ごせるように、パンも食生活に取り入れてあげたいですね。
また、パンを食べるときは窒息を起こさないように注意してあげましょう。
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